- FXと外貨預金の違いが知りたい
- 自分に合った投資方法がFXか外貨預金か迷っている
- FXと外貨預金の使い分け方がわからない
FXと外貨預金は、いずれも外国通貨を取り扱う金融商品であるが、その性質や活用方法には大きな違いがある。
しかし、具体的にどのような違いがあり、どちらが自分に適した運用方法なのか、迷ってしまう方も多いのではないだろうか。
本記事では、FXと外貨預金の基本的な仕組みから、それぞれの特徴、メリット・デメリットまでを詳しく解説する。
取引条件、利益が生まれる仕組み、税金の取り扱い、資金の保全方法など、多角的な視点から両者を比較し、その特性を深く理解していただける内容となっている。
さらに、市場環境に応じた両者の効果的な使い分けや、FXと外貨預金を組み合わせた投資戦略も取り上げる。
記事を通じて、最適な外貨運用方法を選択する一助としていただければ幸いである。
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FXと外貨預金の違い

FXと外貨預金は、どちらも外国通貨を扱う金融商品だが、さまざまな点で違いがある。
FXと外貨預金の一覧表で比較
まずは、両者の主な違いを一覧表で整理する。詳しい解説が必要なポイントは、追って詳しく解説するので、順番に読み進めて欲しい。
項目 | FX(外国為替証拠金取引) | 外貨預金 |
---|---|---|
基本的な仕組み | 外国通貨を売買する 少額の証拠金(保証金)を元にレバレッジ取引ができる | 日本円を外国通貨に交換して銀行に預け入れる |
目的 | 為替レートの変動を利用して、比較的短期間での利益獲得を目指す | 比較的長期間の運用を前提とする |
取引時間 | 平日24時間取引可能 | 銀行の営業時間内のみ |
必要資金 | 最低取引単位は「1,000通貨」が多い | 普通預金の預入は「1通貨単位」から可能 |
取引コスト | スプレッド(売値と買値の差)が主なコスト | 為替手数料(預入時と引出時に発生) |
リスク | レバレッジにより利益も損失も大きくなる 短期間で大きな損失の可能性あり | 為替変動によるリスク 預金保険制度の対象外 |
利益の出し方 | 為替レートの変動による差益 売買で利益を得る | 利息収入と為替差益 長期運用が前提 |
必要な知識や技術 | 為替相場の分析やリスク管理の技術が必要 | 基本的な為替の仕組みを理解すればよい |
資金の保全 | 信託保全により顧客資金は保護される | 預金保険制度の対象外で、銀行破綻時に保護されない可能性あり |
基本的な仕組みの違い
続いて、FXと外貨預金の仕組みを詳しく確認しよう。
FX(外国為替証拠金取引)の仕組み
FXは「外国為替証拠金取引」の略称で、外国通貨を売買することで利益を得る取引だ。
2つの通貨を組み合わせて取引する点(通貨ペアによる取引)と、レバレッジ(てこの原理)を利用できる点が特徴である。
通貨ペアとは、たとえば「米ドル/日本円(USD/JPY)」や「ユーロ/米ドル(EUR/USD)」など、2つの異なる通貨を組み合わせたもののことだ。
一方の通貨を買うと同時に、もう一方の通貨を売ることで取引を行う。
レバレッジとは、手元の少額な資金(証拠金、マージン)を元に、その数倍から数十倍の金額を取引できる仕組みである。
たとえば、FX口座に10万円を預け入れた場合、それを証拠金として最大25倍※(250万円相当)の取引が可能になる。
この仕組みにより、小さな為替変動でも大きな利益を狙うことが可能になるが、同時に損失も拡大するリスクも伴う点には注意が必要だ。
※金融庁の規制により、日本で個人投資家が利用できるレバレッジ倍率は最大25倍までとされている。レバレッジ倍率の設定は、FX業者により異なる。
外貨預金の仕組み
一方で、外貨預金とは、日本円を外国通貨に交換して銀行に預ける、シンプルな金融商品である。
仕組みと特徴は、以下のとおりである。
- 日本円を外国通貨に交換し、銀行に預け入れる
- 預け入れ期間中は、外貨建ての利息を受け取る(利息収入)
- 円に戻す際、為替レートの変動によって為替差益(または差損)が生じる
外貨預金には、レバレッジの仕組みは存在しない。そのため、FXと比べてリスクは低いが、同時に短期間で大きな利益を得ることも難しい。
なお、外貨預金も円預金と同様に、普通預金と定期預金がある。
必要資金の違い
必要になる資金の考え方も、FXと外貨預金では大きく異なる。
FXの最低取引単位
FXの場合、取引できる最小単位は、選択するFX口座により異なる。
一般的なのは、「1,000通貨単位」という設定だ。しかし、松井証券(MATSUI FX)やSBI証券(SBI FXトレード)のように、「1通貨単位」から取引可能とするFX口座もある。
外貨預金の最低預入金額
外貨預金も、最近では少額からスタートできる。外貨普通預金では、「1通貨単位から」とする銀行も増えている。
たとえば住信SBIネット銀行では、外貨普通預金の最低預入金額は「各外国通貨の1通貨以上1補助通貨単位」だ。
米ドルであれば「1米ドル以上 1セント単位」なので、1ドル=150円なら約150円程度から預け入れできる。
一方、外貨定期預金では、銀行ごとに複数のプランの用意がある。
三菱東京UFJ銀行は、窓口なら「1通貨単位以上」だが、インターネットバンキング(ホット定期)では「10万円相当額以上」となっている。
通貨によって最低預入単位を変えている銀行もある。
たとえばauじぶん銀行なら、「1取引あたり1万円、または100通貨(ただし、中国元・ランドは1,000通貨、レアルは200通貨、NZドルは150通貨)」という設定となっている。
取引にかかる費用の違い
FXと外貨預金では、取引にかかる費用の構造にも大きな違いがある。
FX取引に必要な費用
FX取引における主なコストは「スプレッド」である。多くのFX口座では、取引手数料自体は無料であり、スプレッドが主な取引コストとなる。
スプレッドとは、通貨を購入するときの「買値」と売却するときの「売値」の差のことだ。
たとえば、「米ドル/円のスプレッドが0.4銭」であれば、1ドルにつき0.4銭のコストが取引ごとにかかる。スプレッド幅がこの差が狭いほど、負担するコストは低くなる。
スプレッド、FX口座は市場環境などに応じて戦略的に設定する。
2024年10月現在、米ドル/円のスプレッドは「0.2銭原則固定」水準だが、マネーパートナーズ(0.0銭原則固定)など、より狭い水準を打ち出す会社もある。
外貨預金に必要な費用
外貨預金にかかる費用は、主に「為替手数料」だ。
預け入れ時に適用されるTTS(Telegraphic Transfer Selling rate)と、払戻時に適用されるTTB(Telegraphic Transfer Buying rate)の差額がスプレッドとして発生する。
たとえば、米ドルのTTSが1ドル=150円、TTBが1ドル=148円であれば、預入時と払戻時の差額で2円の為替手数料が発生する。
加えて、銀行によっては、外貨送金手数料や外貨管理手数料が別途かかる場合もある。
たとえば、預入や払い戻しを外貨現金で行う場合や、送金を伴う取引では、追加手数料が発生するのが一般的である。
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FXと外貨預金のメリット・デメリット

ここまで見てきたFXと外貨預金の違いを、改めてメリット・デメリットの形で整理してみよう。
項目 | FX(外国為替証拠金取引) | 外貨預金 |
---|---|---|
メリット | レバレッジを活用できるため、少額で大きな利益獲得を狙える 24時間取引可能 上昇相場でも下落相場でも利益を狙える(「売り」からでも参入できる) 短期間での利益獲得の機会 | 為替差益と金利収入の両方が期待できる 比較的安全な資産運用である 長期的な資産分散に有効 海外旅行や留学資金、または株式投資資金として利用可能 |
デメリット | レバレッジによる大きな損失のリスク 追証(追加証拠金)や強制ロスカット発生のリスクがある 取引に関する知識や技術が必要 取引の頻度が高いとコストが積み重なる | 預金保険制度の対象外 取引時間が限定される 金利が低い場合、実質的な利回りが低下する 換金時に手数料がかかる 短期的な利益獲得が難しい |
上表で整理したFXのメリット・デメリットをさらに掘り下げるため、リターンとリスクの特徴、および知識面の違いを見ていこう。
FX取引ではリターン獲得機会が大きい
外貨預金では、主に金利収入や為替差益がリターン源となり、基本的に短期的に大きな利益を得るのは難しい。
一方、FXでは、短期間での相場変動を捉えた利益追求が可能である。
また、外貨預金では外貨の保有により利益獲得を狙う。よって、円安・外貨高の場合にのみ利益を得られる。
一方、FXなら「売り」からでも取引を開始できる。円高・外貨安の場合でもショートポジションを保有していれば利益を得られる。
すなわち、相場の方向性に関わらず利益を狙えるのだ。
さらに、FXでは高金利通貨を買い、低金利通貨を売ることで金利差収益(スワップポイント)も得られる。これは為替変動とは別の収益源となる。
24時間取引可能という点も、外貨預金に比べて大きなリターンの獲得可能性を高める。
しかし、リターンの機会が多い反面、FX取引にはリスクも存在する。次に、FXに内在するリスクについて詳しく見ていこう。
FX取引には内在するリスクが多い
リスクが多様である点も、FX取引と外貨預金の違いである。FX取引には、以下のようなリスクが内在している。
レバレッジリスク
レバレッジを活用すると、損失もレバレッジ倍率に応じて増大するリスクがある。
たとえば、1ドル=150円のときに100ドル分の買いポジションを作り、その後、為替レートが1%下落して1ドル=148.50円になった場合、損失は150円(150円-148.50円×100)で済む。
しかし、100ドルを証拠金としてレバレッジ25倍の取引を行った場合は、2,500ドル分のポジションを持つことになる。
この場合、1.5円の下落でも、損失は1.5円 × 2,500ドル=3,750円だ。
追証リスク
レバレッジを使ったFX取引の場合は、「追証(おいしょう)」が発生するリスクもある。
追証は、取引の損失が拡大し、証拠金が一定の基準(維持証拠金額)を下回った場合に、FX業者から追加の証拠金を入金するよう求められる仕組みである。
この場合、追加入金を行うか、ポジションを決済して追証を解消する必要がある。
このため、損失が拡大し、予期せぬ追加の資金負担が必要になる可能性も出てくるのだ。
強制ロスカットリスク
FX口座では、証拠金維持率が一定の基準を下回ると、強制的にポジションが決済されることがある。これを「強制ロスカット」という。
強制ロスカットが実行されると、相場が予想外に動いている途中で不利なレートで取引が終了する。そのため、損失が拡大してしまうことが多い。
FX取引を行うためには知識や技術が必要
このように、FX取引はさまざまなリスクがあり、またルールも複雑であるため、外貨預金の利用に比べて知識や技術が必要になる。
FX取引には、リスク管理の知識や技術が不可欠だ。また、利益獲得のためには、為替相場の分析や予測の技術が必要で、経済指標や国際情勢などの幅広い知識が求められる。
一方、外貨預金では、基本的な為替の仕組みを理解しておく必要はあるが、FXほど専門的な知識は必要ない。
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FXと外貨預金のどちらが合っているのか

FXと外貨預金のどちらが自分に合っているかを判断するには、以下のポイントを検討してみると良い。
リスク許容度
まず、リスク許容度が重要な判断基準となる
- リスクが高くても高リターンを求めるなら「FX」
- 安定的な運用を望むなら「外貨預金」
FXはレバレッジを活用できるため、大きな利益を得る可能性があるが、大きな損失を被るリスクも高い。
一方、外貨預金は相対的にリスクが低く、安定的な運用が可能である。自身のリスク許容度を正確に把握し、それに見合った選択をすることが重要である。
運用期間と目的
運用の期間や目的も大きなポイントである。
- 短期間での利益獲得を目的とするなら「FX」
- 長期的に資産を運用するなら「外貨預金」
外貨預金では、為替差益や金利収入をゆっくりと狙う形となる。長期的な資産分散や将来の資金形成を目指す場合、外貨預金が良い選択肢となる。
資金ニーズ
ご自身の資金ニーズのありかたも、一つの判断材料となるだろう。
- 頻繁に入出金したい場合は「FX」
- 一定期間固定して運用したいなら「外貨預金」
FXは資金の出し入れが比較的自由にできるが、外貨預金(とくに外貨定期預金)は一定期間固定して運用するのが基本である。資金の流動性に対するニーズに応じて選択する必要がある。
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FXと外貨預金の上手な使い分け方

FXと外貨預金は、上手に使い分けることで、より効果的な外貨運用が可能となる。以下、主要なテーマに分けて使い分け方を解説する。
運用期間で使い分ける
短期的な利益を狙う場合、FXは有力な手段である。市場が活発な時期や重要なイベント時には、特に短期的な利益獲得のチャンスが多い。
一方、資産を安定的に運用し、リスクを最小限に抑えたい場合は、外貨預金が適している。
たとえば、海外旅行や留学資金を長期間にわたり準備する際には、外貨預金を活用して、将来の円高リスクを軽減しながら資産を運用できる。
次のような組み合わせが可能だ。
- 外貨預金で長期的なポジションを保持しながら、短期的な相場の動きに応じてFXで調整する。リスク管理と利益追求を両立させる戦略となる
- 外貨預金で安定した通貨を保有し、リスクの高い通貨ペアのFX取引で積極的なリターンを狙う
- 外貨預金の金利収入を、FX運用資金に回す。これにより、安定した収益と高リスク・高リターンの取引を組み合わせた戦略となる
為替リスクヘッジのためにFXを使う
外貨建て資産を保有している投資家は、為替変動によるリスクを軽減させる目的でFXを利用できる。
たとえば、外貨建ての株式や債券、預金を持っていると、配当や利息収入、値上がりによる利益が期待できるが、円高に振れるとその利益が為替差損によって減少、あるいは逆転してしまうリスクがある。
このリスクを回避するためには、FXで外貨を売り(ショート)ポジションを取ることで、円高が進行した際にFXの為替差益で資産の価値減少をカバーできる。
これにより、為替リスクを緩和し、全体の運用を安定させられる可能性が高まる。
また、今後円安が進むと予想されるが、今は資金が用意できず、後で外貨建て資産を購入したいという場合もFXは役立つ。
この場合、FXで外貨のロングポジションを持ち、今後の円安による利益を先取りする形でリスクヘッジを行うのだ。
しかし、FXを使ったヘッジにはリスクが伴う。まず、ヘッジ量が多すぎると、逆に為替変動によるリスクが増大することにつながる。
また、長期間ヘッジポジションを維持する場合、これらのスプレッドやスワップポイントといったコストが累積し、収益を圧迫するおそれもある。
もちろん、レバレッジの特性上、ヘッジ目的であっても予想以上の損失が出てしまうこともある。
そもそも、将来の為替動向を正確に予測することは極めて困難だ。
誤った市場予測に基づいてヘッジ戦略を立てると、かえってリスクが増大する可能性があるため、慎重に検討することが重要だ。
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FXと外貨預金を賢く使い分け、リスクを抑えて利益を最大化しよう!

FXと外貨預金は、外貨を扱う点は同じだが、その他のさまざまな点では大きく異なるものである。
Xは短期間で大きなリターンを狙える一方、元本を割るリスクが高くルールは複雑だ。
一方で、外貨預金はリスクが少なく、長期的な運用に適しており非常にシンプルである。
どちらもメリットがある一方、リスクもある。これらを確認したうえで、自分のリスク許容度や投資期間に応じて、FXと外貨預金の使い分けや併用をすることが重要だ。
FX取引は、少額からでも始められるため、リスクを抑えて徐々に経験を積むことができる。
FX口座の開設は無料のものが多いので、まずは気軽にスタートしてみるのも良いだろう。
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