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退職者は新NISAをどう活用する?退職金運用のポイントと注意点を徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • 退職金運用にもNISAを活用すべきなのか悩んでいる
  • 退職金運用で賢くNISAを活用する方法が知りたい
  • 退職金をNISAで運用するときの注意点が知りたい

退職金は人生において重要な意味を持つ資産であり、運用方法によって老後の生活の質が大きく変わってくる。より豊かな生活を目指し、退職金を運用したいと考える人も少なくない。

2024年から始まった新NISAは、退職金を効率的に運用する絶好の機会を提供している。

新NISAでは従来のNISAと比べて投資枠が大幅に拡大され、より柔軟な運用が可能となっている。

本記事では、退職金の運用において新NISAをどのように活用すべきか、そのポイントと注意点を実践的な例を交えながら詳しく解説する。

目次

退職金運用は新NISAにいくら投資するべき?

退職金を新NISAで運用する際、最も重要なのは適切な投資額の設定である。

生活資金とのバランスを考慮しつつ、長期的な資産形成を目指すための具体的な投資戦略を立てていく必要がある。

以下では、新NISA制度の基本的な仕組みから、投資先を決めるための考え方まで、段階的に解説する。

新NISA制度の投資枠を理解する

新NISA制度では、年間投資可能額が成長投資枠で240万円、つみたて投資枠で120万円、合計で360万円となっている。

これは従来のNISA制度と比較して、約3倍の投資枠となる。なお、新NISAにおける運用可能総額は1,800万円まで、うち成長投資枠は1,200万円までと上限が定められている。

すなわち年間で最大360万円、月間で最大30万円の投資を行った場合、ちょうど5年で運用可能額の上限に到達する。

退職金の運用において、この投資枠をどの程度活用するかは、退職後の生活設計によって大きく異なってくる。

具体的には、退職後の収入見込み、生活費、医療費の見込み、さらには余暇活動や旅行などの趣味にかかる費用なども考慮に入れる必要がある。

投資できる枠が360万円あるとしても、必ず上限まで投資しなければならないわけではないことを理解しておこう。

退職金の平均額と投資配分

では、新NISAで運用してもよい退職金の額はどのように考えればよいのだろうか。実際の退職金の平均額を基準に考えてみよう。

この全額を新NISAで運用した場合、5年間で上限である1,800万円を埋め、73万円の余剰金を出すことが可能だ。

ただし、60歳での定年から年金受給が始まる65歳までの間に必要な生活資金を確保できていなければ、退職金を全額新NISAで運用することはできない。

毎月の投資可能額は、定期収入と生活防衛資金の有無に左右される。

仮に定年後の生活費が月に20万円必要で、毎月10万円の収入を得ている場合、毎月10万円を退職金および貯蓄から補填する必要がある。

また、万が一収入が途絶えたときの備えとして、夫婦で500万円程度の生活防衛資金を確保しておくのが望ましいだろう。

退職金以外の貯蓄が無いとすれば、まずは退職金から生活防衛資金を確保しよう。

続いて退職金の残り1,373万円から、年金受給開始までの生活費の補填分を差し引く。

10万円×12カ月5年=600万円を差し引いて残った773万円が、平均的な退職金のうち、新NISAに回せる額と考えられる。

この額は、毎月の生活費や収入、家族構成や退職金以外の貯蓄の有無によって大きく変動する。

どちらにしても、退職金は全額無条件で投資に回せるわけではないことを理解し、自身の環境に応じた金額を投資に回すのがよいだろう。

退職金運用における新NISAの賢い活用方法

退職金を新NISAで運用する際には、単なる投資額の設定だけでなく、より戦略的なアプローチが必要となる。

特に重要なのが、長期的な視点での資産配分と、安定的な収入確保の両立である。ここでは、退職金の効果的な運用方法について解説する。

退職金も長期運用が重要

退職金を含め、資産運用における基本原則は長期・分散・積立である。

退職時の年齢が60歳だとしても、人生100年時代と言われる現代において、老後の期間は30年以上に及ぶ可能性があるため、この基本原則に基づいた運用が理想的だろう。

実際に、2022年における日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳となっており、定年後も長い運用期間が残されていることが示されている。

仮に年利4%の複利で運用した場合、20年あれば投資額は2倍になる。

定年後から始める運用であっても、投資額全体の金利を安定させられるような分散投資で長期間積立てし続けることが、退職金の有効な運用であるといえる。

投資ペースの設計

長期投資を行うにあたり、投資のペース配分も重要な検討事項となる。

新NISAの年間投資上限額である360万円にとらわれすぎると、かえって効率的な資産運用の妨げとなる可能性がある点は理解しておく必要があるだろう。

定期収入や生活防衛資金が十分でない環境では、上限まで積み立てを続けると、いずれ生活を破綻させることになりかねない。

一方で退職金以外に十分な資産を持っているなら、投資額を360万円の枠内の収めず、特定口座での運用も視野に入る。

投資ペースは退職金の総額や他の資産状況を考慮しながら、無理がない範囲で適切に設計することが望ましい。

安定的な収入源の確保

毎月の定期収入を得られなくなると、新NISAで運用していた資産の取り崩しが視野に入る。

しかし取り崩しは投資額を減少させることになるため、資産の目減りを招くことになる。

将来的な取り崩しのタイミングに備えて、ポートフォリオの中にはインカムゲインが期待できる資産や、定期的な分配金が得られる投資信託なども組み入れることを検討したい。

具体的には高配当株式やJ-REIT、債券型投資信託などを組み合わせることができると、定期的な分配金収入による安定的な収入源を確保しやすくなるだろう。

退職金運用にNISAを活用するときの注意点

新NISA制度は多くのメリットがある一方で、いくつかの重要な注意点も存在する。

特に運用するのが退職金という重要な資産であることから、リスク管理や税制面での配慮は欠かせない。

ここからは、安全かつ効率的な運用を行うための注意点について解説する。

リスク管理は慎重に

退職金の運用においては、一般的な資産運用以上に過度なリスクは避けるべきだろう。

運用期間が長期にわたるとはいえ、損失を取り返すのは簡単なことではない。

近い将来に訪れる取り崩しのタイミングに十分な資産を残せるよう、より安定的な成長や収益を望める投資先の割合を増やしておきたい。

損益通算と繰越控除のルールを知る

新NISAは他の口座と損益通算できない点も留意しておく必要がある。一般口座や特定口座は損益通算が可能だ。

それぞれ30万円の損失と50万円の利益が出た銘柄がある場合、通算して20万円分の収益を課税対象とすることができる。

しかし新NISA口座はすでに運用益が非課税となっているため、新NISA口座以外での取引と損益通算を行えない。

また、その年の譲渡益から控除しきれなかった損失を翌年以降に繰り越す繰越控除も同様に、新NISA口座とその他の口座を合算できない。

前年に新NISAの運用で20万円の損失を出しており、今年特定口座で50万円の利益が出たとしても、課税対象となるのは50万円となる点は注意しておこう。

定期的にポートフォリオを見直す

市場環境や自身の生活状況の変化に応じて、定期的なポートフォリオの見直しを行うことも重要である。

見直しのポイントとしては、各資産の比率が目標から大きくずれていないか、予定していた分配金や配当収入が得られているか、インフレ率などの経済環境の変化に対応できているか、などがある。

ただし、成長の鈍化や価格の下落が見られたからといって、頻繁に積み立てていた銘柄を売却し別の銘柄を購入する「スイッチング」をするのはおすすめできない。

積み立て投資は長期的な視点で投資を続けるからこそ福利効果で利益を最大化できる。

一時的な下落に反応して売却を繰り返してしまっては、結果的に十分な利益を得ることはできなくなるだろう。

定期的なポートフォリオの見直しはすべきではあるが、無暗に積み立てる銘柄を変更したり、スイッチングで別の銘柄へ乗り換えたりしないように注意しよう。

退職金運用にNISAを活用したいならプロに相談しよう

退職金の運用は自己判断だけでは難しい面も多い。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な運用戦略を立てることができる。

ここでは、各種専門家の特徴や選び方、相談時の準備について詳しく説明する。

各専門家の特徴

新NISA運用に関する専門的な相談ができる相手は、証券会社・FP・IFAに大別される。

証券会社は個別の金融商品について詳しいアドバイスが可能である。

特に、対面型の証券会社では、担当者との密なコミュニケーションを通じて、市場動向や新商品の情報を得ることができる。

FPは個別銘柄の推奨はできないものの、ライフプランに基づいた総合的なアドバイスが可能だ。

退職後の生活設計全般について、保険や相続なども含めた幅広い観点からのアドバイスが期待できる。

IFAは、楽天証券やSBI証券などのネット証券を活用した運用提案が可能だ。

FPよりも具体的な銘柄の提案を行えるため、顧客の戦略に適した銘柄への投資がしやすくなるのがメリットといえる。

どの専門家にも一長一短があるため、自身がイメージする投資戦略に適したサポートを受けられる専門家に相談するとよいだろう。

退職金の運用は専門家のアドバイスを受けよう

退職金の運用において、新NISA制度の活用は非常に有効な選択肢となる。

つみたて投資枠と成長投資枠を組み合わせることで、効率的な資産形成が可能となる。

ただし、資金の確保や運用期間の面から考えると、過度なリスクテイクは避けるべきだろう。

退職金の運用は人生の重要な岐路となるため、専門家のアドバイスを受けることを強く推奨する。

IFA検索サービスなどを利用することで、自分に合った専門家との出会いが期待できるだろう。

まずは無料相談から始めて、じっくりと自分に合った運用プランを検討してみてはいかがだろうか。

老後の安定した生活のために、新NISAを賢く活用していくことをおすすめしたい。

この記事を書いた人

株式会社ABCash Technologiesは、「お金の不安に終止符を打つ」をミッションに掲げる、金融教育ベンチャーです。「お金の不安」をなくし、豊かな人生を送れるきっかけを提供するため、2018年6月より個人向け金融教育サービス「ABCash」を展開しています。ABCashは、パーソナル講師が1人1人に合わせてトレーニングメニューを提案し、家計管理〜資産形成に必要な金融リテラシー習得をマンツーマンで伴走サポートするサービスです。2024年より、金融メディア「ABCashマネポス」を展開しています。

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