- 高年収の医師でも資産運用は必要なのか悩んでいる
- 医師におすすめの資産運用が知りたい
- 医師が資産運用で成功するためのポイントが知りたい
高年収の医師であれば「リスクのある資産運用は必要ない」と考えている人もいるのではないだろうか。
しかし、税負担の大きさや、突発的なトラブルへ備える場合は、資産運用はしておきたいところだ。
医師が資産運用を始めると、節税効果や収入源の分散など、様々なメリットがある。
現在の資産やどれだけリスクを許容できるかを洗い出し、債券や株式、不動産投資などを始めてみよう。
今回は、医師こそ資産運用が必要となる具体的な理由と、おすすめの投資先6つを紹介する。
資産運用の始め方や成功させるためのポイントについても解説するので、本記事を読み進めればスムーズに資産形成を始められるだろう。
将来に向けて資産を増やしておきたい医師は、ぜひ参考にしてほしい。
高所得の医師にも資産運用は必要なのか?

まずは高収入の医師に資産運用がなぜ必要なのかを詳しく見ていく。
資産運用の必要性に疑問を感じる人は、ぜひ確認してみてほしい。
医師が抱えやすい悩みとは?資産運用の必要性を解説
医師が抱えやすい以下の悩みは、資産運用で解決できる場合がある。
- 税負担が大きい
- 急な病気や事故などのトラブルが不安
- 老後の備えが必要
- 本業で忙しく副業する時間がない
高所得の医師は、税金の負担に悩まされるケースが多い。
日本では所得に応じて税率を決める「累進課税制度」を採用しており、医師は収入が多い分、税金がかかりやすいためだ。
また、病気や事故などで働けなくなった際に、収入が入ってこないのではと不安に感じるケースもある。
定年を迎えた後の備えを気にする人もいるだろう。
収入源を分散したくても、医師は本業が忙しすぎて副業に手を出す時間がないかもしれない。
上記のような悩みを解決するためには、節税効果のある資産運用や、ほったらかしでもできる資産運用が必要となる。
預貯金にはインフレリスクがある
元本が保証される預貯金で安全に資産運用したい人も多いだろう。
しかし預貯金にはインフレで物価が上昇した際に、他の金融商品を保有している場合と比べて資産価値が下がる「インフレリスク」が存在する。
日本でも物価は年々上昇しており、高額の資金をただ銀行に預けておくだけの運用はある種のリスクがある。
みずほ銀行や三井住友銀行などの大手銀行の普通預金金利は0.1%程度(2024年12月時点)と低く、利息にはそれほど期待できない。
資産を効率的に増やすためには、株式や不動産に投資を行い、NISAやiDeCoなどの優遇制度も活用したいところだ。
医師が資産運用をするべき理由4選
医師に資産運用がおすすめできる理由は以下の通りだ。
- 節税対策になる
- 複利効果を活かせる
- 豊富な種類の投資に手を出せる
- 収入源を分散できる
詳しい内容を一つずつ解説する。
高収入の医師には節税対策が必要
税負担が大きくなりやすい医師には、節税効果のある資産運用が効果的だ。
例えばiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用して投資をすると、所得控除や受け取り時に税制優遇がある。
不動産投資でも、所得税や住民税、相続税などで節税対策が可能だ。
収入が多い分税負担も大きい医師は、節税効果の高い資産運用を始めてみよう。
節税効果のある不動産投資やiDeCo制度の詳細については、本記事内で詳しく解説する。
投資金額が多いほど複利効果を活かしやすい
高い収入を得やすい医師は、長期積立による複利効果を活かしやすい。
複利とは、利息にも利息がつくことで、投資金額が多い、投資期間が長いほど効果を発揮する。
そのため、ある程度資産に余裕がある人は、なるべく早めに資産運用を始めてみよう。
収入が多い分豊富な種類の投資先から選べる
資産運用の中には、現物不動産投資やヘッジファンドなど、始めるのに多額の資産や信頼が必要な種類もある。
しかし医師であれば、収入の多さや信頼されやすさにより、投資先を豊富な種類から選択できるだろう。
おすすめの運用先は「医師におすすめの運用先6選」で解説しているので、ぜひ読み進めてみてほしい。
資産運用を始めれば収入源を分散できる
資産運用は、本業が忙しくて他に時間を取れない人に効果的だ。
株式投資や不動産投資で配当金や家賃収入を得られれば、収入源の分散となる。
万が一急な事故や病気で動けなくなった際も、不労所得があれば心労をいくらか減らせるだろう。
医師としての収入だけでなく、配当金や不動産収入で収入源を分散させておけば、いざという時に頼りになる。
医師におすすめの資産運用とは?

ここからは、医師におすすめの資産運用の方法を具体的に見ていく。
投資先を決める前に知っておきたい知識についても解説するので、ぜひ参考にしてほしい。
長期・積立・分散を基本とする
資産運用は基本的に「長期・積立・分散」を意識して進めよう。
資産があるからといって、運用が上手くいくとは限らない。
決まった日付にコツコツと積立をし、長期保有を続けていくのが資産運用をする上で重要だ。
常に一定金額を積み立てることで、高値掴みを防ぎつつ、値下がりした際に多めに購入できる。
さらに投資先を分散させておくと、一部で損失が出ても他の投資先で補填できる。
投資先は一つではなく分散する、または1本で様々な商品が入った銘柄を購入し運用しよう。
自分に合ったポートフォリオを構築する
自分に合った資産運用をするためには、あらかじめ資産を何に割り振るかのポートフォリオを構築する必要がある。
年齢層やリスク許容度によって、資産運用のポートフォリオは変わるためだ。
例えば低リスクで安定して運用したい人は、債券を多めに持つと良いだろう。
積極的にリターンを狙いにいきたい人は、成長性に期待できる株式への投資が効果的だ。
自分に合ったポートフォリオがわからない人は、FPやIFAなどのお金のプロに相談してみよう。
NISAやiDeCoなどの優遇制度を活用する
収入が多く税負担が大きい医師は、NISAやiDeCoなどの税制優遇を受けられる制度をなるべく活用しておきたい。
NISAとiDeCoには、以下のような節税効果がある。
NISA(少額非課税制度) | 運用益が非課税 |
---|---|
iDeCo(個人型確定拠出年金) | ・運用益が非課税 ・掛金が所得控除の対象 ・受け取り時に退職所得控除または公的年金等控除の対象 |
それぞれの特徴や節税効果について詳しく紹介する。
NISAを利用すれば運用益が非課税になる
NISA(少額非課税制度)は、投資で得た利益が一定額まで非課税になるお得な制度だ。
対象となるのはつみたて投資枠の場合は一部の投資信託、成長投資枠の場合は上場株式や投資信託となる。
例えば毎月10万円を積立して年率5%で10年間運用した場合、約1,553万円の資産額、運用収益は約353万円となる。
本来は運用収益約353万円に20.315%(2024年12月時点)の税金がかかる仕組みだが、NISA口座を開設して積立した場合は運用収益をそのまま受け取れる。
投資信託や株式投資を始める人は、同時にNISA口座も開設して賢く資産運用を進めよう。
- 参考:金融庁「つみたてシミュレーター」
iDeCoは掛金が所得控除の対象になる
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出して運用する私的年金制度だ。NISAと同様に、運用して得た利益が非課税になる。
また、掛金は全額所得控除の対象となるため、高い節税効果が得られる。受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除(※)などが受けられる点も魅力だ。
※一時金として受け取った場合は退職所得控除、年金として受け取った場合は公的年金等控除
厚生年金に加入できない開業医は、年金や退職金の代わりとしてiDeCoを利用して積立をすると良いだろう。
医師におすすめの運用先6選

次に、医師におすすめの投資先を6つ紹介する。
それぞれの主なメリット・デメリットを以下の表にまとめた。
運用先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
債券投資 | 安定した収益を見込める | リターンは低め |
株式投資 | 成長性に期待できる | 下落時の損失が大きい |
投資信託 | 分散・ほったらかし運用がしやすい | 短期で利益が出にくい |
不動産投資 | 節税効果が得やすい | 現物は保有リスクがある |
ヘッジファンド | 下落相場でも利益を狙える | 公募していない |
コモディティ | インフレ対策になる | 価格が変動しやすい |
詳しい特徴や、なぜ医師に向いているのかを解説していく。
債券投資は低リスクで安定した資産運用ができる
債券投資は、国や企業が発行する債券を購入して利益を得る方法だ。
満期日や利息があらかじめ決められており、安定して収益を見込めるメリットがある。
特に個人向け国債は元本が保証されている点が魅力で、0.05%の金利保証もついている。
ただし、リターンは低めで、例を挙げると2024年12月に募集された個人向け国債の利息は0.60〜0.71%だった。
債券は、低リスクで資産運用をしたい医師に向いている運用先と言えるだろう。
- 出典:財務省「個人向け国債窓口トップページ 」
株式投資は運用次第では高いリターンを狙える
株式投資とは、企業の株式を購入して利益を狙う手法だ。株が安い時に購入して、高い時に売却して利益を得る「値上がり益」で資産を増やせる。
成長性の高い企業に投資してうまく運用をすれば、高いリターンが狙えるだろう。また、配当金や株主優待を受け取ることでも利益を得られる。
株主優待は基本的に保有株数が多いほど優待内容が豪華になるため、収入が多く投資に回せる資金がある医師に有利と言えるだろう。
ただし、株価が下落した際の損失が大きく、すべての資産を株式に注ぎ込むと挽回できない可能性がある。
長期目線で値上がりを狙う、分散効果のある他の投資先と同時に運用するなどの対策が必要だ。
投資信託は運用にそれほど手間がかからない
投資信託は、本業で忙しい医師におすすめの「ほったらかし運用」がしやすい方法だ。投資のプロに運用を任せられるため、手間をかけずに資産運用を進められる。
投資先が多い銘柄や、バランス型の銘柄を選択すれば、簡単に分散投資ができる点も魅力だ。毎月・毎週など決まった日付に積立を行う「積立投資」にも対応している。
ただし分散投資できる銘柄は安定性がある分、短期では利益を出しにくいデメリットがある。分散性の高い金融商品を運用したい人は、投資信託を始めてみてほしい。
不動産投資は節税対策になりやすい
不動産投資は、マンションやアパートなどの不動産が投資対象となる。
購入した不動産のオーナーとなり、賃貸にして家賃収入を得る方法や、物件が安い内に購入して高くなってから売ることで利益を得る方法などがある。
不動産投資をする際は、購入時に多額の資産を用意する、またはローンを組まなければならない。
その点医師の場合は収入が多く資産が多い、ローン審査に通りやすい傾向にあり、他の職業の人より始めやすいと言えるだろう。
プロに運用をお任せするREIT(不動産投資信託)なら少額からでも不動産に投資できる。
デメリットとしては、現物不動産を保有する場合は管理の手間がかかる点が挙げられる。
不動産投資に共通する注意点として、不動産の価値低下や災害による損失のリスクにも気をつけるべきだろう。
ヘッジファンドは富裕層を対象とした投資信託
ヘッジファンドは投資信託の1種で、様々な戦略を用いて積極的にリターンを狙う手法だ。プロに運用を任せられるため、本業で忙しい医師に向いている。
ヘッジファンドは、上昇相場だけでなく、下落相場時にも利益を追求できる点が特徴だ。ただし、ヘッジファンドは公募でなく私募で投資家を集める。
専門家の仲介を経由する必要があるため、限られた投資家・富裕層のみが対象となる。
コモディティはインフレに強い
コモディティ投資は、金・エネルギー・畜産物などの「実物資産」に投資する方法だ。
実物資産とは、株式や債券などの金融商品と異なり、それ自体に価値のある資産を指す。
景気の悪化やインフレ時などに強い点から「安全資産」と呼ばれることも多く、ポートフォリオに組み込むと分散効果を得られるだろう。
コモディティは現物に投資するだけでなく、金・銀などの商品が組み込まれた投資信託やETFの購入でも投資できる。
ただし、コモディティは価格が変動しやすく、安定した運用が難しいデメリットがある。
インフレに備えて株式以外の資産も保有しておきたい人は、コモディティ投資を始めてみると良いだろう。
医師が資産運用するときのステップ

医師が資産運用を始める際は、以下のようなステップで進めるのがおすすめだ。
- 保有資産の洗い出しをする
- ライフプランを立てる
- 運用先を決定する
詳しい手順を一つずつ解説していく。
1.保有資産を洗い出して現状把握をする
まずは自分が現在保有している資産を洗い出して、現状を整理しよう。
現状の資産を把握することで、次からの手順であるライフプランの策定や運用先の選択を適切に行える。
保有資産としてカウントされるのは以下のような種類だ。
- 預金
- 株式
- 債券
- 不動産
- 保険(※)
- 金・プラチナなど
- 満期を迎えた際に保険金を受け取れるタイプの保険、解約した際に解約返戻金を受け取れるタイプの保険など
現在加入している保険も、種類によっては資産としてカウントされる。
「新しく資産運用を始めたと思ったらすでに始めていた」「資産を把握しきれておらずポートフォリオ配分を誤った」などの状況を避けるためにも、保有資産は把握しておこう。
2.ライフプランを立てて運用方針を決める
資産の洗い出しが終わったら、次にライフプランを作成する。
ライフプランとは、「結婚」「子育て」「老後の生活」などこれから発生する人生のイベントに向けて計画を立てることだ。
ライフプランを作成する際は、必要な資金を見積もる必要がある。
将来発生するであろう出費に向けて「どの程度資金が必要か」「いつまでに用意する必要があるか」などを算出することで、運用すべき投資先が見えてくるだろう。
3.運用先を選択して投資を始める
ライフプランを立てた後は、具体的な運用先を決めて投資を始める。
大きな出費が発生するまでまだ時間の余裕のある人や、現時点でも資産に余裕がある人は、低リスク・低リターンの債券や分散投資しやすい投資信託から始めてみよう。
積極的にリターンを狙いたい人には、株式投資や現物不動産投資もおすすめだ。
将来発生するであろうライフイベントに向けた資産運用を意識すると良いだろう。
医師が資産運用に成功するための考え方

医師が資産運用を成功させるためには、リスク管理や冷静に売買できる仕組み作りが重要だ。
本項では資産運用で失敗しないためのコツを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
資産運用は余裕資金内で行う
投資は必ず余裕資金内で行い、生活資金にまで手を出さないようにしよう。
生活資金にまで手を出してしまうと、損失が出た際に取り返しがつかなくなってしまう。
具体的には今まで買えたものが買えなくなる、家庭内に不和が生じるなどが考えられる。
生活資金に手を出してしまう恐れがある人は、注ぎ込む資金の上限を決めておく、積立投資を行って自動で引き落されるようにするなどの対策をしておこう。
事前にリスク管理の方法を決めておく
勝負事や投資などで熱くなりやすい人は、あらかじめリスク管理を徹底しておこう。
投資では高リターンを狙うためにリスクを取りすぎたり、相場の急激な変動で冷静な判断が難しくなったりするケースがある。
冷静さを失うと損失を大きくしてしまい、借金を抱える可能性もあるだろう。
そのため、事前に「ここまで価格が下がったら損切りする」といった自分ルールを決めておくと、損失を最小限に防げる。
ポートフォリオは定期的に見直す
資産運用の配分は定期的に見直しをしよう。
最初にポートフォリオを設定して運用を始めた段階では設定通りに配分されていても、時間の経過により配分が偏る可能性がある。
ポートフォリオが崩れた際は、元の配分と同程度になるよう売買をして調整する「リバランス」が必要だ。
基本的には半年から1年程度の頻度でポートフォリオをチェックし、偏りが見られた場合はバランスを調整すると良いだろう。
医師の資産運用はプロに相談しよう

医師が資産運用をする際は、FPやIFAなどのお金のプロへ相談がおすすめだ。
プロへ相談した方が良い理由と、どのような相談先があるのかを詳しく解説する。
ポートフォリオ作成にはプロへの相談がおすすめ
自分に合ったポートフォリオを作成したい場合は、お金のプロへ相談してみよう。
本業が忙しい医師はあらかじめ資産運用のポートフォリオを作成しておくと、将来に向けて迷わずに投資を進めやすい。
とはいえ、仕事に追われる中で自分に合った運用先の選定や投資の勉強をするのは難しい場合もあるだろう。
お金のプロに相談すれば、自分の資産状況やリスク許容度、将来のライフイベントに向けたポートフォリオの構築に関するアドバイスを受けられる。
資産運用の相談先は主に4つ
資産運用の相談ができるお金のプロには以下のような種類がある。
- 銀行
- 証券会社
- FP(ファイナンシャル・プランナー)
- IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)
銀行や証券会社には相談窓口があり、資産運用の相談が可能だ。
ただし、銀行・証券会社への相談には「担当スタッフの入れ替わりがある」「金融商品のラインナップが限られる」などのデメリットがある。
中立的な目線でアドバイスをもらえる、長期間サポートを受けられるプロに相談したい人は、独立して活動するFPやIFAなどがおすすめだ。
FPとIFAの違いとしては、IFAは具体的な金融商品の提案・取引まで可能な点が挙げられる。
商品の選定・売買までサポートして欲しい人は、IFAへの相談を検討してみよう。
医師でも資産運用は必要!節税できる制度も利用して賢く投資を始めよう

高収入の医師であっても「税金の負担」「トラブルへの備え」などにより資産運用は必要だ。
まずは自分のリスク許容度やライフイベントを考慮したポートフォリオを作成して、資産運用を始めてみよう。
税の負担が大きい医師には、NISAやiDeCoなどの節税効果のある制度を活用した投資がおすすめだ。
例えばiDeCoを利用して投資信託をすれば、投資で得た利益が非課税になる上に掛金が所得控除の対象となる。
資産運用を成功させるためには「長期・積立・分散」を意識し、冷静な投資判断が自動で行えるようリスク管理を徹底しよう。
資産運用の始め方に悩んでいる人や、ポートフォリオの形成が難しい人は、お金のプロへ相談してみよう。
本記事で紹介した投資方法や資産運用のコツを参考にして、将来に向けた資産形成を効率的に進めてほしい。