- 資産運用のデメリットやリスクについて知りたい
- 資産運用が本当に必要なのか、メリットとデメリットを理解したい
- 資産運用で失敗を避ける方法を学びたい
「老後のために資産運用をした方がいいと聞くけれど、本当に必要?」「投資はお金が減るリスクがあるから、しない方がいいのでは?」このような不安や疑問を持つ人は少なくないだろう。
確かに資産運用(投資)にはさまざまなリスクが存在し、場合によっては大きな損失を被る可能性もある。
しかし、適切な方法で行えば、労働以外での収入確保や老後資金の形成など、大きなメリットを得られる可能性も高い。
本記事では、「資産運用はしない方がいい」と言われる理由や、投資のリスク、メリット・デメリットを詳しく解説していく。
これを読めば、あなたにとって資産運用が必要かどうか判断できるはずだ。
「資産運用はしない方がいい」と言われる理由

資産運用に否定的な意見がある背景には、いくつかの理由がある。
まずは、これらの理由を詳しく見ていきながら、資産運用の実情をチェックしてみよう。
投資は貯蓄・収入が十分でないとリスクが高くなりやすいから
資産運用を始める前に、十分な貯蓄と安定した収入基盤が必要になる。
なぜなら、予期せぬ出費や収入の減少時に、投資資金の取り崩しを迫られる可能性があるためだ。
例えば急な医療費や車の修理代が必要になったとき、投資資金しか手元になければ、相場が下がっているタイミングでも売却せざるを得なくなる。
また、失業や収入減少時に生活費を捻出するために、不利なタイミングでの売却を強いられることもある。
このような事態を避けるため、最低でも3~6ヶ月分の生活費は普通預金や定期預金として確保しておくべきだ。
投資は、こうした最低限必要な資金を確保したうえでの、余剰資金で行うべきだろう。
資産運用中の相場の下落が生活にストレスを与えるから
投資を始めると、どうしても相場の上下の動きが気になってしまう。
特に大きな下落があったときには、強い不安やストレスを感じることになるだろう。
例えば、100万円の投資が80万円まで目減りした場合、「このまま損失が広がるのではないか」「いつ回復するのだろうか」と心配になるのは当然だ。
このような心理的負担により、日常生活や仕事が手につかなくなってしまうリスクがある。
また、頻繁に相場をチェックする習慣がつくと、本来の仕事や生活に支障が出ることも。
投資に時間を取られ過ぎて、本業がおろそかになってしまうケースも少なくない。
知識がないと投資詐欺や誤った判断による損失のリスクがあるから
投資に関する正しい知識がないと、詐欺的な投資話に騙されたり、誤った投資判断で損失を被ったりするリスクが高まる。
よくある「詐欺的な投資話」の例は以下の通りだ。
- 「必ず儲かる」ありえない投資話
- 極端な高利回りをうたう怪しい金融商品の紹介
- SNSでの高額な投資情報商材の勧誘
投資に「絶対」はない。
必ず、リターンに見合うリスクがある点は理解して行うべきだ。
また、投資の基礎知識が不足していると、「値上がりを期待して買い、暴落時に損切り」という最悪のタイミングで売買してしまいやすい。
これは投資の大原則に反する行動で、大きな損失につながる可能性が高いだろう。
資産運用のデメリットとは

資産運用にはさまざまなデメリットやリスクが存在する。
これらを正しく理解し、対策を講じたうえで投資を始めることが重要だ。
ここでは、特に注意すべき4つのデメリットを解説する。
元本割れのリスクがある|お金が増えるとは限らない
投資には必ずリスクが伴い、投資した金額(元本)が減少する「元本割れ」が起きてしまう可能性がある。
特に株式投資では、企業業績の悪化や市場全体の下落により、大きな損失を被るケースもある。
元本割れが起きてしまうケースの例は以下の通りだ。
- 為替相場の急激な変動
- 予期せぬ自然災害の発生
- 投資先の企業の業績悪化や倒産
- 世界的な景気後退による市場の下落
このようなリスクは完全には避けられない。
投資は「必ず増える」保証のない運用方法だということを理解しておく必要がある。
また、投資先を株式や不動産・債権などに分散させる「分散投資」で、リスクの軽減を図るべきだ。
手数料や税金等のコストがかかる|増えた分が満額手取りになるわけではない
投資では以下のようなさまざまな手数料や税金が発生するため、利益がすべて手取りとして手に入るわけではない。
- 売買手数料
- 証券会社に支払う取引手数料
- 信託報酬
- 投資信託の運用管理費用
- 税金
- 売却益や配当に対する課税(約20%)
- 為替手数料
- 外貨建て商品の売買時に発生する手数料
- 口座管理料
- 証券口座の維持費用
そのため、表面的な利回りだけでなく、手数料などを差し引いた実質的な手取り収益を計算しなければならない。
ただし、最近では「NISA」や「iDeCo」などの非課税制度が充実しており、差し引かれる費用の多くを占める「税金」の部分は大幅にカットが可能だ。
詳しくは本記事内「税制優遇の制度が充実している|「NISA」や「iDeCo」は利益が非課税になる」で解説しているので、読み進めてみてほしい。
複雑な投資は知識や頻繁な情報収集が必要になる|手軽にはじめるなら「投資信託」がおすすめ
個別の株式投資など、自分で投資判断を行う場合は、リスクを軽減するために相応の知識と時間が必要となる。
投資を成功させるためには、以下のような情報収集が欠かせない。
- リスクとリターンの関係
- 経済指標の見方
- 為替相場の見方
- 企業分析の手法
- 市場動向のチェック方法
- 確定申告に向けた税制の理解
こうした学習や情報収集に十分な時間を割けない場合は、手数料を差し引く代わりにプロが運用を行う「投資信託」の活用がおすすめだ。
投資信託なら、運用のプロが市場分析や銘柄選定を行ってくれるため、投資初心者でも始めやすい。
特にインデックスファンドと呼ばれる、日経平均株価など市場の指数に連動するタイプの投資信託は手数料も安いため、サラリーマンの資産運用の第一歩として適している。
また、投資信託は非課税制度「NISA」「iDeCo」を利用すれば収支を帳簿付けする必要がなく、面倒な確定申告もせずに済むのがポイントだ。
「相場の変動」との付き合いが心理的な負担になる|値動きは頻繁にチェックしないのが吉
投資を始めると、どうしても資産価値の増減が気になってしまう。
以下のような状況になると、強い不安やストレスを感じがちだ。
- 保有資産が大きく下落してしまった
- マイナスなニュースが増えて市場の先行きが不透明になってしまった
- SNSで「相場が下がる」との煽りを多く目にしてしまった
心理的な負担に対処するには、投資方針をしっかりと決めておくことが重要だ。
例えば、「10年以上の長期投資を前提とする」「毎月一定額を積み立てる」といったルールを設定して守り続けることで、相場変動に振り回されにくくなる。
また、投資信託での分散投資を行うことで、個別の銘柄を保有したときと比較し値動きによるストレスを軽減することも可能だ。
資産運用でお金を増やすための3原則は「長期・分散・積立」。
短期的な相場変動に一喜一憂せず、どっしりと構えて投資に取り組むようにしよう。
資産運用をするべき理由とメリット

預金だけでは将来に向けた十分な資産形成が難しい時代となっている。
ここでは、資産運用をすべき理由と、具体的なメリットについて解説していこう。
不労所得が得られる|「労働」以外の方法でお金が増える
不労所得とは、働かなくても得られる収入のことだ。
株式投資なら配当金、不動産投資なら家賃収入といった形で、定期的な収入を得ることができる。
代表的な不労所得の例を見ていこう。
- 株式の配当金
- 不動産投資の家賃収入
- 投資信託の分配金
- 債券の利息収入
- REIT(不動産投資信託)の分配金
- 外貨預金の為替差益(※いわゆる「ドル円」のような為替レートの変動によって発生する利益)
給与所得だけでなく不労所得という収入源を持つことは、生活の安定性を高めるための重要なポイントだ。
まして現代では「老後資金は最低2,000万円を自分で用意しろ」「将来年金が支給されない、もしくは減額になるかも」と、もはや老後に貯蓄や収入なしで生活できる保証もされない状況になっている。
今のうちに不労所得や貯蓄を確保し、退職後にお金がある安心感をゲットしておこう。
複利効果が期待できる|増えたお金が自動的に新たなお金を生む
複利効果とは、投資で得た利益を再投資することで、その利益に対してもさらに利益が生まれる仕組みである。
ある程度の利回りが確保できていれば、時間とともに資産の増加ペースが加速していくのが特徴だ。
実際に、200万円を年利5%で運用した場合の複利効果を見てみよう。
経過年数 | 資産額 | 元本からの増加額 |
---|---|---|
0年 (運用スタート) | 200万円 | – |
10年 | 約326万円 | 126万円 |
20年 | 約530万円 | 330万円 |
30年 | 約864万円 | 664万円 |
上記のシミュレーションでは一気に200万円を運用開始した形を想定しているが、もちろん積立の場合も同じ恩恵を受けることが可能だ。
複利効果は運用期間が長くなるほど大きくなるため、早めに投資をスタートすることで増える資産額も高まっていくだろう。
少額から始められる|月100円からでも気軽にスタートできる
投資には必ずしも大金が必要、というわけではない。
近年は投資信託を中心に、驚くほど少額から始められる商品が増えている。
たとえば「NISA」の制度を利用した投資信託は、なんと100円からでも投資することが可能だ。
まずは小さな金額から始めて、慣れてきたら徐々に投資額を増やしていく。
このようなイメージで段階的に進めていくことで、無理なく資産運用を継続できるだろう。
税制優遇の制度が充実している|「NISA」や「iDeCo」は利益が非課税になる
投資の利益には通常20.315%の税金がかかる。
しかしNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用することで、効果の大きい税制優遇を受けることが可能だ。
NISAとiDeCoの主な特徴は以下の通り。
NISA | 年間最大360万円まで投資可能 恒久的に運用益が非課税 投資信託や株式が対象商品 |
---|---|
iDeCo | 会社員の場合、年額最大81万6,000円まで投資可能(※) 恒久的に運用益が非課税・掛金が全額所得控除の対象 投資信託や株式・預金が対象商品 原則60歳まで引き出しができない |
出典:iDeCo公式サイト「iDeCoってなに?」
※企業年金の加入状況により変動する
例えば、NISAで100万円の利益が出た場合、通常なら約20万円の税金がかかるところが非課税となる。
また、iDeCoでは掛け金が所得控除されるため、毎月の掛け金を投資に回しながら、節税効果も得られる。
ただしiDeCoは原則60歳まで引き出しができないことから、以下のように運用するのがおすすめだ。
- NISA
- 車の購入資金や教育資金など、老後以前に使うお金の運用
- iDeCo
- 老後のための資産形成
税金がかからずに資産を増やせる、NISAやiDeCoの制度を活用しない手はない。
まずは100円からでもはじめられるNISAから検討してみてはいかがだろうか。
資産運用の失敗を回避したいなら、プロへ相談しよう

投資にはさまざまなリスクや落とし穴が存在する。
特に初心者は、知識や経験の不足から思わぬ失敗をしてしまうケースも多い。
失敗を避けたい初心者は、資産運用のプロに相談するのがおすすめだ。
ここでは、典型的な失敗例や、プロに相談するメリットについて解説していこう。
資産運用でよくある3つの失敗例
資産運用でよくある典型的な失敗パターンを3つ紹介する。
- 必要な生活資金や緊急予備費まで投資に回し、急な出費時に不利なタイミングでの売却を強いられる
- 高利回りに魅力を感じて、リスクの高い商品に手を出しすぎ、大きな損失を被る
- 相場の動きに一喜一憂し、値上がり後の追いかけ買いや暴落時の損切り売りを繰り返してしまう
プロのアドバイスを受けることで、初心者でもこうした失敗を未然に防ぐことができるだろう。
資産運用をプロに相談する3つのメリット
プロに相談することで、より低リスクで効果的な資産運用が可能となる。
主なメリットは以下の3つだ。
- 初心者でも不安なく投資をスタートできる
- 自分に合った投資プランを提案してもらえる
- 市場の大きな変動時も冷静な判断ができる
特に投資初心者は「何から始めればいいのか分からない」「失敗が怖い」といった不安を抱えがちだ。
プロのアドバイスを受けることで、基礎知識から実践まで、段階的に投資を学びながら実行に移すことができる。
また、プロのアドバイスは客観的かつ専門的だ。
自分ひとりで資産運用を進めたときに起き得る「感情的な判断による大失敗」を避けられるだろう。
投資はデメリットもあるがメリットが多い!失敗したくないなら少額からはじめよう

人生100年時代と言われる今、資産運用の重要性は年々高まっている。
預金だけでは将来に向けた十分な資産形成は難しく、投資による運用は避けて通れない課題となっているのだ。
確かに投資には、元本割れのリスクや相場変動による心理的負担、手数料などのコストといったデメリットが存在する。
しかし、一方で以下のようなメリットも大きく、早くから取り組んでいくことで資産を大きく増やせるかもしれない。
- 少額(100円~)からでも始められる
- 複利効果で時間が経過するほど資産が増える可能性がある
- 「NISA」「iDeCo」のような投資を後押しする税制優遇制度が多い
ただし、投資は正しい知識と適切な方法で行わないと、さまざまなリスクが伴う。
生活資金を投資に回してしまったり、ハイリスクな商品に手を出しすぎたりといった失敗を避けるためにも、プロのアドバイスを受けることをおすすめする。
まずは気軽に相談してみることから、あなたの資産運用をスタートしてみよう。